葬儀の見積もりの中で大きなウェイトを占めるのが祭壇を飾る生花や棺の費用ですが、これらは葬儀が終われば枯れてしまったり燃やされて灰になってしまったりする運命にあり、その儚さゆえに「一瞬のためにこれほどのお金をかけるのは無駄ではないか」という疑問を抱く人は少なくありません。特に白木祭壇や生花祭壇はランクを上げれば数百万円にもなりますが、その価格差は花の量やデザインの違いに過ぎず、故人への弔意の深さと比例するものではないにもかかわらず、葬儀社から「このクラスが一般的です」「お花が少ないと寂しいですよ」と言われると断りきれずに高いプランを選んでしまう遺族が多いのが現実です。棺についても数十万円する彫刻入りの高級棺を選んだとしても火葬炉に入れば数十分で燃え尽きてしまうものであり、参列者が棺を見るのは最後のお別れのわずかな時間だけであることを考えれば、そこに過剰なお金をかける必要性は低いと言わざるをえません。しかしこれらを単なる物質的な無駄と切り捨てる前に、花にはその場の空気を浄化し参列者の心を慰める効果があることや、立派な棺には故人を大切に扱いたいという遺族の敬意が込められていることも理解する必要があります。問題なのは「高い方が良い」という盲目的な思い込みや葬儀社のセールストークに乗せられて不要な豪華さを追求してしまうことであり、例えば祭壇の花を減らす代わりに故人が好きだった庭の花を飾ったり、高価な棺の代わりに寄せ書きができるシンプルな棺を選んで孫たちがメッセージを書いたりするなど、お金をかけずに心を込める方法はいくらでも存在します。モノとしての価値ではなくコトとしての意味にお金を使うという意識への転換が必要であり、豪華さよりも「その人らしさ」を演出することに知恵を絞ることこそが本当の意味での贅沢な葬儀と言えるのではないでしょうか。
祭壇の花や豪華な棺は誰のためのものか