葬儀と火葬を終え、ご遺骨となって自宅へ戻られた故人様。そのご遺骨を、四十九日の法要まで、一時的に安置し、供養するための祭壇が「後飾り壇(あとかざりだん)」です。中陰壇(ちゅういんだん)とも呼ばれます。葬儀の次の日から、この後飾り壇を中心とした、自宅での供養が始まります。この期間の過ごし方と、後飾り壇の扱いについて、基本的な知識を理解しておきましょう。後飾り壇は、通常、葬儀社のスタッフが、ご遺骨と共に自宅へ戻った際に、設置してくれます。白木の二段または三段の壇が一般的で、仏間や、家族が集まるリビングの静かな場所に、北向きまたは西向きを避けて設置します。壇の上には、ご遺骨、白木の位牌、そして遺影を中央に安置します。そして、その周りに、三具足(みつぐそく)と呼ばれる、香炉(お線香立て)、燭台(ろうそく立て)、花立(花瓶)を飾ります。その他、お供え物として、鈴(りん)、お水やお茶を入れる茶湯器、炊きたてのご飯を盛る仏飯器などを置きます。この後飾り壇は、「四十九日の忌明け法要」まで飾るのが一般的です。仏教では、故人の魂は、亡くなってから四十九日間、この世とあの世の間を旅し、七日ごとに審判を受け、四十九日目に最終的な行き先が決まるとされています。ご遺族は、この期間中、後飾り壇の前で、故人が無事に極楽浄土へ行けるようにと、祈りを捧げるのです。具体的な供養の方法としては、毎日、朝起きたらまず、お水やお茶、炊きたてのご飯をお供えし、新しい花に水を替え、ろうそくに火を灯し、お線香をあげて、手を合わせます。この朝夕のお勤めを、できるだけ欠かさず行うことが、故人への何よりの供養となります。そして、四十九日の法要を終えると、後飾り壇はその役目を終えます。ご遺骨はお墓や納骨堂へ納められ、白木の位牌は、お寺で魂抜きをしてもらった後、本位牌へと作り替えられます。役目を終えた後飾り壇は、基本的には葬儀社が引き取ってくれますが、ご自身で処分する場合は、自治体のルールに従って、粗大ゴミなどとして処分して構いません。葬儀の次の日から始まる、四十九日間の供養。それは、故人の冥福を祈る期間であると同時に、残されたご遺族が、故人の死と向き合い、少しずつ悲しみを乗り越えていくための、大切な「心の時間」でもあるのです。
後飾り壇はいつまで飾る?葬儀の次の日からの供養