通夜、告別式という慌ただしい二日間が終わり、故人を見送った次の日。深い悲しみと、燃え尽きたような疲労感の中で、ご遺族はどのような朝を迎えるのでしょうか。少しでも体を休めたいところですが、現実には、葬儀の次の日にも、やらなければならない大切な務めが待っています。この日をどう過ごすかが、その後の心の平穏と、スムーズな手続きへの第一歩となります。まず、朝一番に行いたいのが、お世話になった方々への「挨拶回り」です。葬儀という大きな儀式を無事に終えられたのは、多くの方々の支えがあってこそ。その感謝の気持ちを、できるだけ早く伝えることが、人間関係を円滑に保つための、非常に重要なマナーです。挨拶に伺う相手は、主に、儀式を執り行っていただいた寺院の僧侶、葬儀でお手伝いをしてくださった親族や友人、そして近隣の方々です。特に、葬儀の運営で中心的な役割を担ってくれた方や、遠方から駆けつけてくれた親族には、菓子折りなどを持参し、改めて丁重にお礼を述べましょう。「昨日は、大変お世話になりました。おかげさまで、滞りなく父を見送ることができました。本当にありがとうございました」と、具体的な言葉で感謝を伝えます。次に、葬儀社への「費用の支払い」の準備も、この日から始まります。葬儀後、数日から一週間程度で、葬儀社から請求書が届きます。事前に受け取っていた見積もり書と内容を照らし合わせ、不明な点があれば確認し、支払い期日までに準備を進めます。いただいた香典を整理し、会計報告をまとめるのも、このタイミングで行うと良いでしょう。そして、少し落ち着いたら、今後の「手続きのリストアップ」に着手します。死亡届の提出は葬儀社が代行してくれますが、年金、保険、銀行口座、不動産の名義変更など、故人が亡くなった後には、数多くの、そして複雑な手続きが待っています。全てを一度に行うのは不可能です。まずは、どのような手続きが必要で、それぞれに期限があるのかをリスト化し、優先順位をつけていくことから始めましょう。葬儀の次の日は、悲しみに浸る時間と、現実的な務めをこなす時間とが、複雑に交差する一日です。決して無理をせず、家族で協力し合いながら、一つ一つの務めを、故人を偲ぶ気持ちと共に行っていくことが大切です。
葬儀の次の日遺族がまずやるべきこと