葬儀の受付での記帳は、個人で参列する場合は比較的シンプルですが、夫婦連名で香典を出す場合や、誰かの代理として参列した場合など、少し特殊なケースでは、「どのように書けば良いのか」と戸惑うことがあります。それぞれの状況に応じた正しい書き方をマスターし、スマートに対応しましょう。まず、夫婦で参列し、香典も一つの袋にまとめる場合です。この場合、記帳は一箇所にまとめて行います。代表者である夫の氏名をフルネームで書き、その左隣に、少し寄り添うように、妻の名前のみを書きます。この際、妻の姓は省略するのが一般的です。住所は、代表者である夫の名前の欄に、一箇所だけ書けば問題ありません。例えば、「葬儀 太郎」と書いた左に「花子」と記します。これにより、夫婦二人で弔問に訪れ、一つの香典を出したという事実が、ご遺族に明確に伝わります。次に、会社の代表として参列する場合です。この場合は、個人としての弔問ではないため、会社名と役職を明記する必要があります。記帳欄の右側にまず会社名を書き、その左隣に、役職と氏名をフルネームで書きます。会社の住所と電話番号も、忘れずに記入しましょう。もし、故人とは個人的な付き合いもあり、個人の資格で参列するが、関係性を分かりやすくするために会社名も書き添えたい、という場合は、自分の名前の右肩に、少し小さな字で会社名を書き添える、といった方法もあります。そして、最も間違いやすいのが「代理」で参列した場合です。例えば、夫の代理で妻が参列した場合、記帳するのは、香典の差出人である「夫」の名前です。夫の氏名と住所を通常通りに書き、その名前の左下に、少し小さな字で「(内)」と書き添えます。「内」は、妻を意味する伝統的な表現です。そして、実際に訪れた代理人(妻)の名前は、記入する必要はありませんが、もし受付で尋ねられた場合は、「妻の〇〇です」と名乗ります。上司の代理で部下が参列した場合も同様に、上司の氏名と住所を書き、その名前の左下に「(代理)」または「(代)」と記します。これらの作法は、誰が、どのような立場で弔意を示しているのかを、ご遺族が後で正確に把握するための、非常に大切な配慮なのです。