ごく近しい身内だけで、静かに故人を見送る「家族葬」。この新しい葬儀の形が主流になる中で、「家族葬の場合、親族や友人に手伝いを頼む必要はないのだろうか」という疑問を持つ方が増えています。一般葬に比べて、そのあり方が大きく変わる家族葬における「手伝い」の役割について、考えてみましょう。結論から言えば、多くの場合、家族葬では「外部の方に手伝いを頼む必要はない」ケースがほとんどです。その理由は、家族葬の目的そのものにあります。家族葬は、義理の弔問客への対応などに追われることなく、家族が故人と心ゆくまでお別れの時間を過ごすことを、最も大切にしています。参列者が十名から二十名程度の小規模なものであれば、受付や接待といった役割も、喪主の家族(例えば、喪主の配偶者や子供など)だけで、十分にこなすことができてしまいます。外部の方に手伝いを頼むと、その方への気遣いが生じ、かえってご遺族の負担が増えてしまう、という本末転倒な事態にもなりかねません。そのため、友人などが良かれと思って「何か手伝うよ」と申し出てくれても、ご遺族としては「ありがとう。でも、今回は家族だけで静かに送りたいので、その気持ちだけ、ありがたくいただきます」と、丁重にお断りするのが一般的です。しかし、これはあくまで原則論です。状況によっては、家族葬であっても、手伝いが必要となるケースも存在します。例えば、喪主やその配偶者が非常に高齢であったり、ご遺族の中に、まだ手のかかる小さな子供がいたりする場合です。このような場合は、受付や会食の準備といった物理的なサポートがあると、ご遺族は大変助かります。ただし、その場合でも、手伝いを依頼する相手は、兄弟姉妹や成人した孫、甥姪といった、ごく近しい親族に限られるのが一般的です。もし、どうしてもと親しい友人に頼む場合でも、その役割は限定的で、ご遺族の負担にならない範囲に留めるべきでしょう。家族葬における「手伝い」とは、物理的な労働力というよりも、むしろ、悲しみに沈む家族のそばにいて、その心を支える「精神的なサポート」としての意味合いが、より強くなっていくのかもしれません。
家族葬では葬儀の手伝いは不要なのか