葬儀の受付での記帳は、ご遺族が後で何度も見返す、大切な記録となります。良かれと思ってしたことが、実はマナー違反だったり、ご遺族の負担を増やしてしまったりすることのないよう、記帳の際にやってはいけない「NGマナー」を、しっかりと押さえておきましょう。まず、最も基本的なNGが「走り書きや、崩し字で書く」ことです。記帳は、単なるサインではありません。ご遺族が後で香典返しなどを手配する際の、唯一の手がかりとなる重要な情報です。誰が読んでも、はっきりと分かる、丁寧な「楷書」で書くことを、何よりも心がけてください。特に、自分の名前や住所の漢字に、珍しい読み方や、間違いやすい字が含まれている場合は、普段以上に意識して、丁寧に書く配慮が必要です。次に、意外とやりがちなのが「住所を省略して書く」ことです。「市」や「区」から書けば分かるだろう、と、都道府県名を省略したり、マンション名を省略したりするのは、絶対にやめましょう。ご遺族は、必ずしもあなたの居住地を詳しく知っているわけではありません。郵便番号から、建物名、部屋番号に至るまで、全ての情報を正確に記入することが、最大の親切です。連名で記帳する場合にも、注意が必要です。四名以上の大人数になる場合に、芳名帳のスペースを占領して、全員の名前を書き連ねるのは、マナー違反です。この場合は、代表者の氏名と「外一同」と書き、別紙に全員の氏名と住所を記載したリストを添えるのが、スマートな対応です。また、筆記用具に関しても、受付に用意されているものを使うのが基本ですが、もし持参のペンを使う場合は、黒以外の色(青や赤など)や、消えるボールペンなどを使うのは、公的な記録としてふさわしくなく、NGです。そして、受付が混雑している時に、前の人と雑談をしながら、だらだらと記帳するのも、周りの方々への配慮に欠ける行為です。記帳の場は、故人を偲ぶ儀式の入り口です。常に、厳粛で、慎み深い態度で臨むことを忘れないようにしましょう。これらのNGマナーを避けることは、あなたの品格を示すだけでなく、悲しみの中にいるご遺族を、陰ながら支える、温かい思いやりの表現となるのです。
葬儀の記帳でやってはいけないNGマナー